組織にとって、社会にとって、必要な人間か?

多賀工業会会長 杉田 龍二(昭49学子)
(2026年5月1日)
私は大学院修了後、約20年間、松下電器産業(株)(現 パナソニックホールディングス(株))で研究開発業務に従事してきました。同社勤務当時は日本の家電業界の絶頂期であり、予算面も含めて比較的自由に仕事を推進でき、博士号も取得させてもらいました。これだけでも、会社からは十分な恩恵を受けたと思いますが、それ以上に感謝すべきは、社会人として成長させていただいたことだと考えております。日常業務、OJT(On the Job Training)、研修などの場で様々な教えを受けました。経営の神様と呼ばれた創業者の言葉はもちろんのこと、会社幹部による訓示も印象に残っております。例えば、「松下電器は物を作る前に人を作る」とか、「成功するとは成功するまでやり続けることである」などは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。また、当時の取締役の「あなたは会社にとって必要な人間か?」という内容の話も心に刺さりました。これは、仕事をするに当たって重要な問いかけであろうと思います。「会社にとって必要な人間か?」は、「社会にとって必要な人間か?」という問いかけや「社会にとって必要な組織か?」という問いかけにつながると思います。
さて、多賀工業会に対しても同様のことが言えると思います。すなわち、この組織が存続できるためには、会員や準会員およびその他の関係者にとって同会が必要なものでなければなりません。現在、各大学の同窓会組織は様々な逆風にさらされておりますが、多賀工業会は、激変する社会において必要な組織であるべく変革を継続しております。以下に、多賀工業会の最近の取り組み3点についてご説明いたします。
まず1点目としまして、「学生参加促進対策および学生支援」の幾つかを列挙いたします。現在、多賀工業会に対する学生の認知度向上のために、週1回のペースで学生たちとのミーティングを続けております。また、春には、学生に依頼して、1万数千部の多賀工業会会報の封詰め作業を実施し、会員に発送しました。これは会報発行費の低減につながりました。こうがく祭では、学生が主体となって、写真・絵画展とOB・OG懇談会を開催し、ポップコーン屋台も出店しました。日立綜合支部総会には10名程度の学生が参加し、支部会員と有意義な交流をしました。国際会議参加費支援におきましては、2025年度には約20名の大学院生がこの支援を受けて、国際会議で発表してきました。
2点目は「多賀工業会事務局のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進」についてです。従来、事務局では、会員情報管理と会計処理を、主に紙媒体で行ってきました。しかし、これでは効率が悪く手間がかかるため、デジタル化を推進しパソコンのみで管理するように改革しつつあります。こうすることにより、これまで困難であった、会費未納者への会報配布停止などの処置が可能になり、大幅な会報発行費削減を実現しました。
3点目は「会員名簿発行」のご報告です。今年2026年11月に、5年振りに名簿を発行します。従来よりも発行間隔を1年延ばしました。その大きな理由は発行部数の減少にあります。この傾向は他大学の同窓会も同様であり、名簿を発行しないところもあります。また、個人情報保護法により、名簿に会員の連絡先や勤務先を掲載する事が困難になっております。若者は連絡を取り合う際に名簿を必要とせず、SNSで事足ります。その上、これまで不要だった名簿発行費用が今回から発生します。このような理由により、発行間隔を5年にすることとした次第です。
最後になりましたが、同窓会会費の支払いにご理解いただきました新入生とその保護者の方々、賛助金および寄付金を納めていただきました方々に深謝申し上げますと共に、会員の皆様のご活躍とご多幸を祈念いたします。


