2年を超える異常事態、そして夜明けへ向かって
多賀工業会会長 杉田 龍二(昭49学子)
(2022年6月15日)
様々な活動を制約するコロナ禍が2年を超えて続いております。感染の波は収まらず第6波が襲い、更なる変異種の出現も危惧されています。この間、各種業務、会合や授業の多くがオンラインで実施され、対面でなくても済む活動が多々あることが認識されました。しかし、オンラインでは代替できないものも数多くあります。例えば、技術の進歩によって、ある程度の実感が得られるバーチャル海外旅行が提供されていますが、リアルな旅行には遥かに及びません。アンダルシアの白壁に降り注ぐ強烈な日差し、万里の長城の巨大さと要塞そのものであることを実感させる堅固さ、膨大な水量が流れ落ちるナイアガラの滝の轟音等をバーチャルで再現することは不可能と思われます。自由に海外に行けるようになるまでにはまだしばらく時間がかかりそうですが、明けない夜はありません。明るい夜明けを目指して苦境を乗り切りたいものです。
多賀工業会も大きな制約を受けた状態が3年目に入っております。昨年(2021年)6月に予定していた総会は1年延期しましたが、今年も対面開催は避けるのが無難と思われます。そこで郵送形式で実施することにし、返信用葉書を本会報に同封しましたのでご判断をよろしくお願い申し上げます。以下に、昨年度実施した多賀工業会活動の中から3点のトピックスについてご報告致します。
まず、主な事業の一つとして実施している学生支援についてです。昨年度、大学院博士前期課程修了者を対象にした多賀工業会賞を新たに設けました。この賞はこれまでも大学卒業者に対して授与してきましたが、大学院進学率が60%に達し大学が大学院主体になっていることに鑑みて、大学院修了者にも授与することにしました。もう一つの新たな支援策として、国際会議参加費援助を始めました。国際会議に参加する際には高額な出張旅費と参加登録料が必要になります。そこで、国際会議で発表できるような成果をあげた学生には参加登録料を支援することとしました。たくさんの学生が優れた研究成果をあげて、国際会議で発表する経験を持てることを望んでおります。
次に多賀工業会活動への若手会員の参加を促す取り組みです。どのような組織であれ、若者が参加しない組織は衰退し、やがて消滅してしまいます。厳しく管理されている個人情報、参加のメリットや意義を見出すことの困難さ、帰属意識の低下等が若手会員勧誘に対して強い逆風になっております。このような状況下ではありますが、卒業生による学生への就職及び職場説明会の開催、様々な多賀工業会活動に参加する際の支援等を実施しつつあります。また、昨年開設した新ホームページには、若手会員の興味を引くべく、トップページにインスタグラムを掲載し、諸々の日常の様子をアップしております。会員の皆様には、この取り組みを促進できるアイディアをご提案頂ければありがたく存じます。
トピックスの最後は、昨年11月に4年振りに発行した会員名簿についてです。名簿は多賀工業会と茨城大学にとって大きな財産であり、定期的な名簿作成事業は同窓会存続のために必要不可欠と認識しております。また、会員の消息確認という重要な役割も担っております。今回の名簿では、従来、学部卒業の欄に記載していた住所や勤務先などの情報を、最終学歴の欄、すなわち学部卒業後大学院を修了した会員の場合は大学院の欄に移しました。その理由は、学歴を紹介する際に最終学歴を用いるのが一般的であることと、今の国立大学は大学院主体になっていることにあります。
制約の多い日がもうしばらく続きそうですが、会員の皆様のご活躍とご多幸を祈念申し上げますと共に、一日も早く皆様の活動、多賀工業会活動が従来通り行える日常が戻ってくることを願っております。